ニュース

敗戦を糧に日本一目指す 泥臭く1点もぎ取る野球を 聖光学院(福島)の注目選手 春のセンバツ高校野球

3月18日に開幕した「春のセンバツ高校野球」。東北代表・福島県の聖光学院は、3月22日に初戦を迎える。日本一を目指すチームの強さと、選手たちを動かす「原動力」に迫った。


■敗戦を原動力に

3年ぶり7回目となる春のセンバツ。全国にその名を轟かせる格好の舞台に、チームの士気は上がっていた。聖光学院・竹内啓汰主将は「目標は日本一と掲げている。粘り強くどうやったら戦えるかというところに着目してチームを作っているという状態」と語る。


目標に掲げた「日本一」。その原動力が「あの日」の試合だ。
2024年・秋の東北大会で優勝し、3年ぶりに明治神宮大会へ進出した聖光学院。しかし、東洋大姫路との初戦でまさかの展開が待っていた。相手打線の怒涛の攻撃を止められず、10対0で5回コールド負け。
竹内主将は「情けない試合をしてしまったのが、明治神宮大会だった。二度としてはいけないという思いと、絶対にやり返すぞという思いをもって...」と話す。


■精神的強さを追求 菊地政善選手

選手たちが感じた全国の高い壁。あの日の悔しさを糧に、投打でレベルアップを図ってきた。
打の中心を担う菊地政善選手は、東北大会の決勝では、勝ち越しタイムリーを放つなど勝負強い打撃が持ち味だ。


しかし東洋大姫路戦では、大会屈指の右腕・阪下漣投手を前に2打数ノーヒット。敗戦を教訓に、強豪相手でも雰囲気に飲み込まれない精神的な強さを追求してきた。
菊地選手は「あの負けから感じたものは多くある。センバツにいい影響を与えられるというか、いい結果出せるように頑張っていきたい」と語った。


■チームをけん引 左右の二枚看板

そして全国の舞台へ一際強い覚悟で挑むのが、これまでチームを引っ張ってきた「左右の二枚看板」だ。


背番号1を背負う大嶋哲平投手は、スライダーやチェンジアップなど5種類の変化球を操る技巧派サウスポーで、安定感に磨きをかけてきた。「どんなバッターにも自分のバッティングをさせない、打たせて取るというのが自分の持ち味」と大嶋投手は話す。


もう一人、最速140キロの直球で押す管野蓮投手は、センバツに向け緩急を活かした投球を意識し、ピッチングに幅を持たせることを意識している。「ストレートだけでは相手を翻弄できないので、そこで頼れるチェンジアップを投げられるのが、自分の持ち味」と管野投手は話した。

■初のベンチ入り紺野耀大投手

ベンチ入りする20人の中には、今大会で初めてベンチ入りを果たした選手もいる。2年生の紺野耀大投手は最速は137キロ。

そしてエース大嶋投手と同じく5つの変化球を投げ分けることができ、斎藤監督からは「抜群のマウンド度胸と力強いボールで相手打者と対峙できる本格右腕」と評価されている。


■かっこいい野球はしなくていい

竹内啓汰主将は「もともと、かっこいい野球はしなくていいと思っていて、暑苦しいと言われるような野球をして、選抜大会・全国大会の舞台で聖光学院の野球を体現していきたいと思います」と語る。
秋の敗戦を経て一皮向けた聖光学院。81人全員が一丸となり、1点をもぎ取る泥臭い野球で、再び全国の強豪に挑む。

1回戦の相手・静岡県の常葉大学附属菊川高校は、2007年に春のセンバツでの優勝経験もある名門校。切れ目のない打線が「打線」が強みだという。1回戦は、3月22日の第2試合。