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カラの処理水タンク解体は強風で延期 解体で廃炉に向けた重要作業のスペース確保へ 福島第一原発

廃炉作業の"最難関"とされる燃料デブリの取り出しに欠かせない作業。処理水を貯めていたタンクの解体は、強風により2月13日の作業は中止され、14日以降に延期となった。

<タンク解体作業が強風で延期>
処理水の海洋放出が始まってから、1年半になろうとしている。福島第一原子力発電所で解体が予定されているのは、処理水の海洋放出に伴い、カラになった溶接型のタンク。13日が作業初日の予定で、報道陣に現場が公開されたが、強風のため中止に。タンク上部の「フタ」にあたる部品の取り外す作業は、早くて14日以降に延期された。

<スペース不足が課題>
福島第一原発では、汚染水や処理水を貯めたタンクが1000基余りとなり、敷地を圧迫。廃炉の"最難関"とされる燃料デブリの取り出しなどの重要な作業を進めるにあたり、「スペース不足」が課題になっていた。
そのため東京電力は2025年度中に12基のタンクを解体し、さらに別の9基についても解体を進める方針だ。解体されたタンクはコンテナに収納し、施設内の別の場所に一時保管。その後は溶かして再利用することも検討している。

<廃炉進捗に重要なステップ>
東京電力ホールディングス汚染水対策プログラム部の前城直輝グループマネージャーは「デブリの取り出し関連施設を建設して、廃炉を進捗させないといけないという中では、今回、空になったタンクを解体していって、敷地の確保をして、廃炉をですね次のステップに進めていくという意味で重要な位置づけだと思っております」と話す。解体後のスペースは、3号機の燃料デブリの取り出しのための施設を建設する計画だ。

処理水の海洋放出は2023年8月に始まり、これまでに通算10回、タンク78基分ほどが海水で薄められて海に放出されている。

<タンク解体でスペース確保>
福島第一原発で発生した処理水は、敷地の南側に設置されたタンクに保管されている。早ければ14日に解体が始まるのは、今回はJ9エリアにあるタンク12基。今後はこの隣にあるJ8エリアのタンク9基の解体も行われ、あわせて2900平方メートルの面積が確保される計画だ。
この2つのエリアには、時期は未定だが、3号機の燃料デブリの取り出しに関する施設が建設されることになっている。

1号機から3号機に燃料デブリは合わせて880トンあるとみられていて、東京電力は2030年代の始めに本格的な取り出しに着手する計画。