進まぬ再生利用と県外最終処分 中間貯蔵施設の除染土 搬入から10年 見えない約束の行方【福島発】
原発事故後、除染で出た土などの再生利用や最終処分を巡っては、課題が山積している。
福島第一原発を取り囲むように広がるこの場所は、福島県の大熊町と双葉町の帰還困難区域内にある"中間貯蔵施設"。原発事故後、除染で発生した土などが保管されていて、3月13日で運び入れ開始からちょうど10年になる。
運び込まれた量は、東京ドーム約11個分に相当し、このうち4分の3ほどにあたる放射性物質の濃度が低い土は、全国の公共工事などで「再生利用」される方針だ。
しかし、東京や埼玉で計画された実証事業は、地元の反対があり進んでいない。また、残りについては、県外で2045年3月までに「最終処分」することが"法律で"定められている。約束の期限まで残り20年となるが、最終処分地はどこになるのか、全く見えていない。
中間貯蔵施設となったこの場所にもかつて住宅があった。"約束"を信じて土地を手放した地権者も大勢いる。
福島テレビが福島民報社と共同で行った最新の世論調査で、「(県外搬出の)理解を進める取り組みは十分と思うか」尋ねたところ、「県内外で十分に取り組まれている」と回答した人は1割ほどにとどまった。
議論をさらに加速させて理解を広げることが急務といえる。