単純計算で採取デブリの500倍超...ゼオライト土のう3月19日にも回収着手へ<福島第一原発>

福島第一原子力発電所で、大量に残る高線量の「劣化土のう」を回収する作業について、東京電力は2025年3月19日にも着手する方針を示した。
回収作業が始まるのは、地下水などが燃料デブリに触れて発生した「汚染水」を浄化して「処理水」にする過程での通り道になっている建物で、プロセス主建屋と高温焼却炉建屋の2つ。
事故当時から、高線量の「汚染水」を浄化するため、放射性物質を吸着するゼオライトの土のうと、油分などを吸着する活性炭の土のうが大量に投入された。
ゼオライト土のうの表面線量は1時間あたり4400ミリシーベルトと高く、時間の経過によって劣化して破れるなどして、大部分が地下に流れ込み「汚染水」に浸かってしまっている。
2024年11月に採取された燃料デブリの表面線量が1時間あたり8ミリシーベルトなので、単純計算で500倍以上の放射線量。
散らばっている土のうをロボットで集め、その後、地上階に移して脱水などをしたうえで一時保管施設に運び入れる。
作業の終了は2026年度から2027年度を見込んでいる。
集積作業は当初、2025年1月から2月の着手を計画していたが、現場が非常に高線量であることから、十分な安全対策をとる必要があるとして後ろ倒しした。
全体の工程に影響はないとしている。
建物の地下に残っている水も、それを吸着した土のうも、非常に線量が高いことから、東京電力は「高線量に加え、狭くて暗くて障害物が多いので、安全を最優先に慎重に作業を進める」としている。