郡山市長選挙の争点 経済の活性化・まちづくりの課題 老舗靴店を継いだ店主の思い【福島発】
4月20日に投票が行われる福島県郡山市の市長選挙。現職の品川市長の引退にともない、新人4人による選挙戦となっている。今回は主な争点となっている経済やまちづくりについて考える。
■老舗靴店を継いだ四代目
郡山市中心部にある高松靴店。4月で創業109年を迎えた老舗の靴店だ。
四代目の社長を務める高松雄一郎さん(51)。東京の大学を卒業後、大手シューズメーカーや飲食チェーン店などに勤務し、約1年半前に父親から靴店の経営を引き継いだ。高松さんが郡山に戻ってきたのは「五十過ぎて初めて自分の人生も考えて。家業を継いで創業者の想いを継いだうえで、企業存続のために残りの人生を捧げていもいいのかなという想いになったもんですから」と話す。
■少子化で売上げも減少傾向
長年、地元の学校向けに靴や上履き、カバンなどを販売している高松靴店。今も売上の大きな柱だが、少子化の影響もあり減少傾向が続いているという。
「児童数が減っているのもそうですし、以前ですと、販売店の方に平日買いに来れた保護者の方も共働きすることによって夜遅い時間帯じゃないと買い物ができない。(新たに)ネットで注文できる、購入できる仕組みも作っていますので」と高松さんは話す。
店では新たに布製の軽量ランドセルや男女共用のスクール水着など靴以外の販売にも力を注いでいる。「取り扱うアイテムもどんどん増やしていかないと、なかなか靴だけで勝負できる時代でもないのかな」という。
■厳しさを増す中小企業の経営環境
郡山市に拠点を置く中小企業は、約1万5000社。物価高による消費の低迷や、慢性的な人手不足など様々な要因で、経営環境は厳しさを増している。「企業としては(支援制度などの)情報を取りに行くんですけど、やはり発信する方(行政)もしっかりと発信して、きめ細かく対応してほしいなとは思いますね」と高松さんは話す。
■かつての賑わいを取り戻すために
この日訪れたのは、JR郡山駅近くにあるもう一つの店舗。中町店では、靴の修理のほか健康づくりにも効果的というウォーキングシューズや、セミオーダーシューズの販売も行っている。「ただ単に靴を売って終わりということじゃなくて、やはりお客様が履いて足が健康になるような、そういった付加価値が高い商品を選んで置いてあります」と話す。
ネックとなるのは、かつてのにぎわいとは程遠い、人通りの少なさ。個人の店や商店街だけでこの状況を変えていくのは難しいという。
■市政に求めるのは?
高松さんに市政に求めることを聞くと、「(自助を前提に)産学官民が連携して何か物事を進められるような環境(仕組み)を整えて頂きたいと思いますし、今回の市長選というのも一つの変化のきっかけにはなると思いますので、そういうところ(まちづくり)に積極的にからんでほしいと思いますね」と話してくれた。
地域に根差した企業に寄り添い、経済の活性化やまちづくりをどう進めていくのか、市政の大きな課題となっている。
■各候補者の訴え
福島テレビが行った各候補者へのアンケートからそれぞれの主張を整理する。
<郡山市の経済活性化について>
勅使河原候補は「地場企業の支援とあらゆる産業の地域資源を戦略的に育てる」
高橋候補は「宇宙産業を興し、福島県をけん引する市として周辺自治体を吸収合併」
椎根候補は「戦略的な企業誘致と地元企業との連携、医療関連産業の育成集積」
大坂候補は「減価する地域通貨を導入し市民が支払った消費税をポイントとして発行する」
郡山市長選挙は、4月20日投票で即日開票される。
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