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震災遺構からつながる未来 大堀相馬焼・窯元の挑戦 デジタルアート展示で浪江町を表現【福島発】

江戸時代から続く福島県浪江町の「大堀相馬焼」。その歴史が刻まれた窯元を舞台に、浪江町の記憶と未来をつなぐ展示会が開かれた。

<伝統を繋いできた窯元 震災遺構に>
大堀相馬焼の窯元「松永窯」4代目の松永武士さん。
原発事故により帰還困難区域となった福島県浪江町大堀地区。地区のそばにあった「松永窯」も避難を余儀なくされ、福島県西郷村で作陶を再開した。
震災から12年が経った2023年3月に、井出地区は大堀相馬焼の窯元の土地などに限り避難指示が解除された。
松永さんは、店舗を震災遺構として保存することを決めた。「遺構として残すだけではなく、これを見て新しい可能性を感じてもらいたい。こちらで提供して何か対話をする機会を持ちたい」と語る。

<最新技術と融合 浪江を伝え続ける>
松永さんがこの場所で取り組むのが、「伝統」と「最新技術」を組み合わせたデジタルアートだ。3組の学生アーティストが、それぞれの感性で「映像」や「音」などで表現した作品を展示した。
早稲田大学大学院の滝川麻友さんは「浪江に住んでいる人たちも、ここでまた浪江のイメージや、これからの浪江をまた新しくイメージしていけるような、そういう作品にできたらいいなと思って作りました」と話す。
松永窯の松永武士さんは「帰還困難区域が解除され、そのあと建物などの解体が進むと県外や海外から来た人たちが、本当にここは原発事故で帰還困難区域だったのかすらもわからない。50年後、100年後、きちんと残っていけるような、何か遺産のような形で表現出来たらなと思っている」と語った。

伝統と記憶を未来につなげていくための、新たな挑戦が始まっている。