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孤立の温泉宿から40人をヘリで救助 2度の雪崩が県道塞ぐ 天候・気温次第では除雪可能に《福島県》

福島県福島市の野地温泉に向かう県道で、なだれが発生してから3日。2月12日に温泉宿の宿泊客など40人がヘリコプターで救助された。

<2度の雪崩 温泉宿が孤立>
2月10日に野地温泉に向かう山あいの県道で起きた、なだれによる通行止め。孤立していたのは、土湯温泉の温泉街から約17キロ離れている野地温泉など3つの温泉宿。そこに向かう県道で、2度のなだれが発生した。

<救助された人に体調不良なし>
12日午前11時には孤立した62人のうち、救助を希望した40人の移送が完了した。
救助された人たちの中には、小さい子どももいた。メディカルチェックを担当した医師は「ちょっと困った、疲れた感じはありましたが、皆さん健康で帰られたので大丈夫だと思う」と話し、体調不良などを訴える人はなく、全員健康だという。
バスを4回に分けて福島駅に送り届けられた40人。宿側の対応に感謝の声も聞かれた。埼玉県からの宿泊客は「宿の方の対応が良くて、何の不安もなかった。なだれの規模がわからず、どのくらい長引くのかわからなかった。ちょっと大事になって驚いています」と話した。

<表層なだれが発生か>
救助された親子が撮影した映像には、なだれ発生前の現場付近の様子がおさめられていた。当時、現場付近では吹雪いていたことが分かる。
今回のなだれは古い雪の上に積もった新雪部分がすべり落ちる「表層なだれ」とみられていて、30メートル以上にわたって厚さ1.5メートルの雪に塞がれているという。

<救助された人の声>
3日間におよんだ孤立状態。電気やガスなどのライフラインに問題はなく、食事の不自由もなかったという。
娘の成人祝いで埼玉県から訪れていた車田拓実さんは「ホテルスタッフは、いつも通りに接してくださって、不安になることは一切なかった。ただニュースはすごかったですけど、私たちは全然そんなことは感じなかった」と話す。野地温泉を訪れるのは10回目ほどでだという車田さんは「車を置いているので、なだれは怖いですけど大好きな温泉宿なので、もう行かないというのはないです。また行きます」と話す。
娘の優空さんは「救助隊の方が2名一緒に乗ってくださって、ベルト付けてくれて、特に乗っているときも外の景色を見ていたという感じ。みんな焦っていた様子はなかった」と救助の様子を話してくれた。

<現在も22人が残る>
一方、今も野地温泉地区の温泉宿には22人の従業員が残っている。
野地温泉ホテルによると、宿泊予約に関する問い合わせへの対応に時間がかかっているという。
いまのところ、3つの温泉宿から食料や燃料などの支援の要請はないが、福島県は今後通行止めが長期化することを視野に、2回目の救助も検討するとしている。

<今後、安全確保しながら除雪進める>
そして福島県は11日と12日に、ドローンを使ってなだれが起きた場所の調査を実施した。「発生源に雪は残っているものの、雪崩が発生しても今回のような道路まで到達するような規模ではないとみられる」「天候や気温によっては除雪は可能」としている。
福島県は、それを踏まえて今後安全を確保しながら除雪を進める方針だ。
一方、野地温泉地区に残された宿泊客などの車についても対応は決まっていないという。