「屋根の雪には近づかない!」が鉄則 記録的な豪雪となった福島・会津地方では雪下ろし業者に依頼殺到
最強寒波により降り積もった雪は、屋根からせり出し、いつ落ちてくるか分からない状況が続いている。2月12日は福島県各地で気温が上昇し、あらゆる場所で十分な警戒が必要となっている。
<雪庇 学校生活も影響>
福島県猪苗代町にある猪苗代第二小学校。大きくせりだした雪庇は、雪どけが進みいつ落ちてくるか分からない状況となっている。
土屋裕史校長は「なかなか、人力では。職員が下したところもあるが、中々あそこまでは難しいなと感じている。状況を見て、町教育委員会とも相談しながら進めていきたい」と話す。
学校側は、子どもたちを雪庇がある場所に近づけないようにし、校庭も大量の雪が積もっているため、しばらくは授業や休み時間での使用を控える予定だ。
土屋校長は「落雪の事故、屋根からの雪については十分上も見ながら。また除雪をして側溝が開いているので下も見ながら、気を付けて歩くように指導している」と話した。
<雪下ろし業者に密着>
暖かな陽ざしが降り注いだ福島県内。会津地方の西会津町では、屋根の雪がとける中で雪下ろしが行われていた。
8年ほど前から雪下ろし作業を請け負う古俣敦さんは、多いときで1日4件、とくにこの数日は依頼が殺到しているという。「先週からずっとで、予約も含めて30件くらいある。雪の重みで潰れてしまうのが心配で、1日でも早く下ろしてほしいみたいだが順番があるのでどうしても」と話す。
それでも依頼した人は「すぐに対応してくれる業者が高齢化で減っているので、やりに来てくれる方がいるというのは大変ありがたく思っている」と話した。
まだ多くの住宅の屋根に雪が残る状態の会津地方。引き続き、落雪には細心の注意が必要だ。
<近づかないことが重要>
過去5年間、全国では屋根の雪下ろしなどで247人、落雪で34人が死亡している。
大雪災害に詳しい長岡技術科学大学・雪氷工学研究室の上村靖司教授は「雪が積もった屋根に近づかない、近づかせないことが重要」と話す。「寒波が少し緩んできて、気温が上がってくると本当に落ちやすくなる。一気に雪が、ざらめ雪という状況になって、非常にもろくなっている。崩れやすい雪になっているとご理解いただいた方が良いと思う。いつ落ちてきてもおかしくない」と上村教授は指摘する。
一方、会津地方を中心に屋根の上に相当の雪が積もっている今、わたしたちはどう対処すればよいのか聞くと「雪止めがあるかないか。ないのであれば、絶対に屋根に上がってはいけない。雪と一緒に落ちて巻き込まれて亡くなる事故が今年もすでに起きている。屋根に上がってはいけない」と話す。
屋根に雪止めがない場合は「落ちるのを待つべき」。そのうえで、上村教授は「軒下に絶対近づかない。子どもたちとか近づかせない。赤いパイロンとかを立てて、立ち入り禁止・落雪注意といった警告をすることもかなり有効」と、対策を呼びかけた。
屋根の雪下ろしについては、「雪止めがあって勾配が緩やかな屋根」は、安全を確保して雪下ろしをしてもよいが、「雪止めがない場合」は屋根に上がると転落事故の恐れがある。屋根の下には近づかず、雪が落ちてくるのを待ってほしいという。
雪止めがあって雪下ろしをする際にも、端からではなく、屋根の内側から外側に向かって除雪をすることで、事故リスクが格段に減るという。
2月14日から週末にかけて、さらに気温が上がって雪どけが進む予報となっている。必ず複数人で、声をかけながら除雪作業をするようにしてほしい。