硫化水素ガスを吸い込んだ痕跡 源泉管理に向かった3人が死亡した事故 ガスマスク未着用の状態でみつかる
2月18日に福島県福島市の高湯温泉で3人が死亡した事故。当時の現場の状況などから、3人が高い濃度の硫化水素ガスを吸い込んだ可能性があることが分かった。
■危険が伴う点検作業
花月ハイランドホテルの支配人など3人は、2月17日午後2時ごろホテルから数百メートル離れた場所にある源泉を点検するために山に入った。翌18日、山道から100メートルほど入った場所で、3人が倒れているのが見つかり、死亡が確認された。
温泉を提供するために欠かせない、源泉の管理。湯の花などで、温泉の通り道がつまらないよう定期的に清掃し、とくに冬の時期は厚い雪に覆われるため、有毒な硫化水素ガスが溜まり危険を伴うという。
■死亡の知らせから一夜あけ
花月ハイランドホテルと同じ源泉を引く旅館では、19日も点検のために山に入った。高湯温泉・吾妻屋の遠藤淳一さんは「きょうは気を付けました。本当に慎重に慎重に。本当に何倍も気を付けました」と話す。
亡くなった花月ハイランドホテル支配人の椛島豊久さんは、高湯温泉を愛し、多くの人に信頼されていたという。
高湯温泉観光協会の会長でもある遠藤さんは、亡くなった椛島さんについて「私も"かばちゃん・かばちゃん"って言って、かばちゃんも私のこと"会長・会長"って言って。本当に明るい人で、人当たりもいいし」と話す。
■硫化水素ガスの変色反応
関係者によると、3人はガスマスクを着けてない状況で見つかり、遺体の皮膚には高い濃度の硫化水素ガスにさらされたことが原因と見られる変色反応があったという。
このことから、3人が滞留していた高い濃度の硫化水素ガスを吸い込んだ可能性があり、警察が死因の特定を進めている。
事故を受けて、高湯温泉の旅館協同組合では源泉を点検する際の安全確保などに向けて専門家による講習会などを検討している。